手結びとは・着物着付けで道具を使わずできる方法
「手結び」とは、着物を着るときに道具や器具を全く使わずに着る着方です。
紐(腰紐・幅4~5センチで長さが2.1メートルほどの紐)を活用して着物を着、帯を締める従来の着方で、ご高齢の方には馴染みが深いはずです。
着物の着付けでは、道具や器具を利用して、着物を着たり帯を締める方法があります。
その道具や器具は、教える人や教室によりさまざまですが、着物の着付けを楽にするために考案されているものなので、悪いとはいえません。
しかしながらその道具がないことには、着物が着られないということになりますので、その道具を利用した着方しかできないとなると、ずっと使い続けなければなりません。
着付けの道具や器具で、私が知っているものには、以下のようなものがあります。
・マジックテープでサイズ調整し、ピンチが二か所ついているウエスト補正を兼ねる補正用品
・ゴムが途中にセットされて二か所ピンチがついている伊達締め
・着物の腰ひもの変わりになる調整できる引っ掛けタイプの幅広のゴムひも
・お太鼓の山を安定させるための道具
・あらかじめお太鼓の形を作っておき形を整える器具
これらは確かに便利なものではありますが、これらをいっさい使わなくても、着物をきてお太鼓や二重太鼓を締めることは可能です。
私の教室にお越しになった方で、上記のような器具を使って着付けを習得された方の中には、器具を使わないと不安という方もあって一部利用していただいたことがありますが、
その方は着物姿になるのに、体に金属製のピンチを四つ、引っ掛ける金具が二つ、マジックテープが一か所、背中に帯用の器具を一つつけなければなりませんでした。
また補正用品も決められたものをお持ちだったので、それを利用するとプラスチックの金具がさらに加わりました。
これだけのものを利用したから着付けが早いかといえば、そうともいえません。
この器具を使うのに慣れなければ早く着付けができないので、器具や道具を利用しなくても、着付けにかかる時間は差がありません。
こうした道具が利用されるようになった背景には、着物が着られない人が増えてしまったこともあり、いたしかたない面もありますが、慣れるための時間を考えれば、それは道具を使わない場合と同じだと思います。
着物が日常の衣類だったころは、当然そうした道具を使っていませんでしたし、それで誰もが着物を着て過ごしていました。
それが絶対に良いことだとはいいませんが、体に余分なものをつけなくても済むことを考えると、個人的には器具や道具はあまり使いたくありません。
紐を利用すれば、ベルト式のものや、マジックテープ、金具で留めなくても用は足ります。
紐の扱いに慣れれば、締める強さの調節も、衿や丈を固定することもできます。
「手結び」というのは、紐(腰紐・幅4~5センチで長さが2.1メートルほどの紐)を活用して着物を着、帯を締める従来の着方です。
着物の着方、帯の締め方にも様々な流派?があり、どれが正しいということはありませんが、道具や器具を使わない方法を、すべて手結びといっています。
手結びの方法は、難しいものではなく、一言でいえば腰ひもを活用するだけです。
着物の着方に慣れるために、腰ひもを活用できるようになればいいわけです。
腰紐は着物の道具の一つで必需品ですから、どんな呉服屋さんにもどんな着物チェーン店にも必ずあります。
一方、道具や器具は、その使い方を教えている教室にしか置いてないことがほとんどです。
これから永く着物を利用し、着物のある暮らしを楽しむために、腰ひもの使い方になれておくと、今後どこへ行っても、どんな場面でも、太っても痩せても、特別な器具を使う必要がなくなります。
また器具をつけない着方は、体に優しいと思います。
これから着物と接していくのであれば、手結びで腰ひもに慣れていると、気軽に着物を楽しめるようになるのではないでしょうか。